
近年、地震や洪水などの自然災害が全国各地で頻発しています。そうした非常時に、市民の安全と安心を支える拠点となるのが「避難所」です。避難所の開設は、被災地における安全確保の要であり、災害による被害を最小限に抑えるための第一歩と言えるでしょう。
その開設を円滑に進めるためには、物資や人員の確保だけでなく、施設そのものを「開ける」ための準備----つまり「鍵の管理」が欠かせません。今回は、避難所運営の根幹でありながら見落とされがちな「鍵管理」について、改めて考えてみたいと思います。
2025/10/06お役立ち情報
- 避難所の鍵が「開かない」!?----見落とされがちな重大課題
- 従来型の「鍵管理」とその限界----避難所開設のボトルネックとは
- IPインターホンで実現する「遠隔解錠」----避難所運営の新スタンダード
避難所の鍵が「開かない」!?----見落とされがちな重大課題
災害はいつ、どこで発生するか予測できません。だからこそ、避難所の迅速な開設には事前準備が欠かせません。準備には、施設の開放や電源・水道の確認といった「物理的な準備」、担当者の配置や避難者の誘導といった「人的な準備」、さらに開設の判断基準や避難勧告との連携といった「制度的な準備」が含まれます。その中でも、最も基本的でありながら意外と見落とされがちなのが「鍵の管理」です。
避難所の多くは学校などの公共施設であり、通常は施錠されていて自由に出入りできる状態ではありません。災害時には速やかに鍵を開けて避難所を開設する必要がありますが、実際には「鍵の所在が不明」「開設が遅れる」といった事態が起きています。たとえば、ある自治体では台風による避難勧告が出されたにもかかわらず、鍵が見つからず避難所を開けられなかったという報告もあります。
これは決して例外的なケースではなく、全国の自治体で起こりうる現実的な問題です。災害時の混乱の中で避難所が開設できない事態は、避難者の不安を増幅させるだけでなく、行政への不信感や情報の混乱、さらには二次被害のリスクを高める可能性があります。「鍵の管理」は、避難所運営における基本中の基本でありながら、非常に重要な課題です。行政や自治体はこの問題を "身近な危機"として捉え、平時からの徹底した対策が求められます。
従来型の「鍵管理」とその限界----避難所開設のボトルネックとは
避難所の鍵管理には、従来いくつかの方法が取られてきました。代表的なのは「庁舎で一括保管する」ケースと、「学校や施設に預ける」ケースです。庁舎での一元管理は、紛失リスクが低く、管理体制としては安定しています。しかし、災害発生時には担当者が庁舎に保管してある鍵を持って現地へ向かう必要があり、道路の寸断や交通の混乱によって現場に到達できない可能性もあります。一方、施設側で鍵を保管する方法は、現場で即時対応が可能という利点がありますが、担当者が不在の場合には開錠できず、対応が滞るリスクがあります。鍵を複数人に分散して持たせる方法もありますが、「誰が持っているか分からない」「セキュリティが甘くなる」といった問題が生じやすくなります。
こうした課題を受けて、近年では新たな鍵管理の仕組みも登場しています。たとえば、避難所の入り口に設置されたボックスが地震の揺れを感知すると自動で開き、スペアキーを取り出せる仕組みや、暗証番号による解錠方式などが導入されつつあります。これらの方法は、鍵そのものを持ち歩く必要がなく、紛失リスクを軽減できるというメリットがあります。しかし一方で、「管理者の目が届かない場所で誰でも開けられる可能性がある」「暗証番号の忘却や漏洩のリスクがある」といった不安も残ります。
鍵の管理は、避難所開設の初動に直結する重要な要素です。従来の方法と新しい技術の双方を検証し、地域の実情に即した最適な運用体制を構築することが求められています。
インターホンで実現する「遠隔解錠」----避難所運営の新スタンダード
避難所の鍵管理に対する不安を解消し、開設をよりスムーズに行うための新たな設備のひとつに「IPインターホンシステム」があります。このシステムでは、インターホンを避難所に設置し、役所などの管理室から遠隔で解錠することが可能になります。従来のように物理的な鍵や暗証番号を必要とせず、担当者が現地にいなくても避難所を開けることができるのです。
さらに、ネットワークを介して複数の避難所を一括管理することも可能となり、災害時の対応力が格段に向上します。監視カメラと連携すれば、避難所の状況をリアルタイムで把握できるため、限られた職員で現地確認を行う際にも、優先順位の判断に役立ちます。
このIPインターホンシステムは、災害時だけでなく平常時にも活用できます。来客対応の安全性・利便性が映像確認によって高まるほか、施設間・教室間の通話や、各部屋からの一斉呼び出しも可能になります。トイレからの緊急呼び出しなどにも利用できるため、避難所として機能する際にも避難者の安心につながります。こうした設備の導入は、避難所の迅速な開設を可能にするだけでなく、施設全体の信頼性と安全性を高め、市民にとって大きな安心材料となるでしょう。
以上、今回のBiz Parkでは、避難所開設時の鍵の管理の重要性と、「IPインターホンシステム」の導入によって実現する様々なメリットについて紹介いたしました。避難所開設時の課題や解決方法についてもっと詳しく知りたい方は、以下から資料をぜひダウンロードしてください。