
道路や鉄道などのトンネル工事においては、崩落事故などの労働災害に発展する危険性が高く、施工現場内の連絡設備が必須となります。有事の際の緊急連絡や業務連絡手段として、従来の電話設備の代わりにIPネットワーク対応インターホンを活用した事例をご紹介させていただきます。
2022/09/30お役立ち情報
- 背景
- 課題
- IXシリーズで解決
背景
全国各地で行われている道路および鉄道などのトンネル建設工事現場では、切羽崩壊・落盤・出水・ガス爆発・火災など、常に人命に関わる危険と隣り合わせで工事が行われています。
このような緊急時に備え、坑内と坑外の間の連絡手段は必須です。
厚生労働省令「労働安全衛生規則の第389条の9」では、トンネル内で落盤、出水、ガス爆発、火災その他非常の場合に速やかに関係労働者に知らせるため、トンネル出入り口から切羽(トンネルの掘削面)までの距離が100mに達したときには警報設備や非常ベル等、またトンネル出入り口から切羽までの距離が500mに達したときは、警報設備および電話機等の通話装置を設備し周知するよう示されています。
トンネル坑内における連絡設備の設置と距離
(農林水産省 土木工事等施工技術安全指針 第17章トンネル工事(1)より引用)
課題
トンネル施工現場における作業員への緊急連絡手段は、主に固定電話設備や非常放送設備が担っていますが、長距離施工の場合、デリケートな弱電ケーブルの取り扱いや露出配線の保護などに課題があるようです。
一方で、昨今のトンネル施工現場では、ICTの活用に向け通信ネットワークの構築も進んでおり、設備配線の省線化やメンテナンス性向上の観点から、IP技術を利用した設備機器の統合が求められるようになりました。
従来の緊急連絡設備の設置イメージ
配線が複雑になり施工面、メンテナンス面で課題がある。
IXシリーズで解決
アイホンのIXシリーズが、トンネル施工現場における設備配線の課題を解決した事例をご紹介します。
IXシリーズはIPネットワークに対応しており、LANケーブル1本のシンプルな配線で省施工を実現します。
トンネル施工現場の通信設備は工事期間のみの使用であり、導入時だけでなく、撤去作業時の施工性も改善します。
今回の事例では、インターホン端末(IX-MV7)が、トンネル入口から300m毎の坑内や現場事務所、見張所等に設置されており、緊急ボタンやサイレン灯、ページング用のスピーカーを統合したワンシステムを実現しています。
IXシリーズを活用した緊急連絡設備の設置イメージ
配線がすっきりと施工されている。
インターホン端末は、緊急連絡、トンネル発破前のアナウンス、坑内と現場事務所間の連絡手段として主に活用されています。ここからは、それぞれの使われ方についてご紹介します。
緊急連絡
緊急ボタンを押すと、インターホン端末に接続されたサイレン灯の光と警報音などで、トンネル坑内全体および現場事務所へ緊急事態を速やかに知らせることができます。
トンネル発破前のアナウンス
トンネル発破5分前に、現場事務所に設置されたインターホン端末から、トンネル坑内に対して発破前アナウンスが行われます。トンネル坑内ではインターホン端末に接続されたスピーカーを通じて放送され、同時にインターホン端末に接続されたサイレン灯からも、光と大きなサイレン音でお知らせします。
坑内と現場事務所間の連絡
従来のインターホン機能として、トンネル坑内と現場事務所との個別連絡手段としても活用されています。
インターホン端末にはカメラが搭載されているため、このカメラを利用してお互いの顔を見ながら通話ができ、作業員間の円滑なコミュニケーションに役立てていただいています。
トンネル施工現場における省線化ニーズに対応し、他設備との連携を具現化したアイホンのIXシリーズが、トンネル坑内の作業員の安全をサポートするツールとして活用されている事例を紹介させていただきました。
日本は国土の約73%を山地が占めるため、世界有数トンネル大国と言われています。国土交通省によると全国の道路トンネルだけでも約10,000本あるそうで、リニア中央新幹線を代表とする鉄道トンネルや新たな高速道路の整備等、現在も日本各地で建設が進んでいます。
電話設備の代用として、施工面の課題を解決しつつ、他設備とのワンシステム化を実現した、アイホンのIXシリーズを是非ともご検討下さい。