子どもたちのICTスキル向上と個性を伸ばす教育に役立つGIGAスクール構想が大きな成果をあげています。その一方で浮上した「アフターGIGA」に向けて解決すべき課題と、GIGAスクール実現のために整備されたネットワーク・通信インフラの活用によるシステムと学校の防犯対策についてもご紹介します。

  • GIGAスクール構想に不可欠な通信インフラの整備
  • アフターGIGAスクールの課題とは
  • 通信インフラを防犯対策に活かす!GIGAスクール構想のその先へ

日本の子どもたちのICTスキルを向上させ、個性を伸ばす教育に役立つGIGAスクール構想。登場してから約3年、すでに大きな成果をあげています。その一方でいくつかの課題も浮上しました。「アフターGIGA」に向けて解決すべき課題と、GIGAスクールを実現するために整備されたインフラを活用することで役立つシステムについてもご紹介します。

GIGAスクール構想に不可欠な通信インフラの整備

GIGAスクール構想は2019年12月に文部科学省が打ち出した取り組みで「子供たち一人ひとりに個別最適化され、創造性を育む教育ICT環境の実現」を目的としています。そこで、小・中学校すべての子どもたちが1人1台のパソコンやタブレットを持ち、それを十分活用できる環境を実現することが計画されました。

そこで、端末・通信インフラの整備というハード面、デジタル教科書などのソフト面、そして指導者・アドバイザーの養成という3つの柱を強化し「個別最適化され、創造性を育む教育ICT環境の実現」を目指すことになりました。

実現には5年という期間が設定され、初年の2020年度には2,300億円以上の予算が計上されました。ちなみにGIGAは「Global and Innovation Gateway for All」の頭文字を取ったもので、「すべての人のためのグローバルで革新的な扉」を意味します。

特に通信インフラの整備は、生徒一人一人が端末を持ち、同時にインターネットにアクセスする必要があることから、「高速大容量の通信ネットワーク環境」を整備することが必要不可欠となります。通信環境の整備は、公平で格差のない教育の実現のためにも、GIGAスクール構想を支える土台となっています。

アフターGIGAスクールの課題とは

オンラインを活用した学習

5年計画でスタートしたGIGAスクール構想ですが、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、計画は意外な進展を見せます。全国で多くの学校が休校となり、計画よりも速いスピードでオンライン授業が行える環境が整備されたのです。

その結果、2022年度末までに「1人1台の端末」という目標は9割以上達成され、「校内ネットワーク環境の整備」もほぼ完了しました。今ではほとんどすべての小・中学校の児童・生徒が自分の端末を持ち、オンラインを活用した学習を行えるようになったのです。

その一方で、いくつかの課題も浮上しました。ひとつはせっかく整備された校内のICTを、十分に活用しきれていないという問題です。端末がすべての児童・生徒に行きわたり校内ネットワークが整備されてもデジタル教材などのソフト面が追いついておらず、ICTを活用しきれていない、あるいは活用の仕方に地域差や学校間で格差が見られるという声が上がっています。

ほかにも、教員のICTスキル不足も問題となっています。今の子どもたちは生まれた時からスマートフォンやインターネットが身近にある、いわゆるデジタルネイティブ世代。その子どもたちにICTスキルと情報モラルを教える教職員の養成は、GIGAスクール構想のカギといえるでしょう。すでにアフターGIGAを見据え、教育の情報化に知見を有する「ICT活用教育アドバイザー」の手配やICT技術を持つ「GIGAスクールサポーター」、教員のICT活用支援を行う「ICT支援員」の配置などのサポートが始まっています。

一方、「GIGAスクール構想」に基づき、校内にはLANをはじめさまざまな整備が、文部科学省のガイドラインに沿って用意されており、現在そのインフラが十分に活用されていないという状況があります。

例えば、通信ケーブルはカテゴリー6A以上。ハブやルータ、スイッチ類は、将来を見据えて1Gbpsの普及モデルにすることが推奨されています。大容量の動画の視聴や、オンラインテストをストレスなく行えるように、クラウド活用はもとより、校内LAN整備と同時にクラウド環境の構築、電源キャビネットの整備なども行われています。
このようにせっかく用意された高度なインフラが十分に活用されてない現状も、アフターGIGAスクールの課題といえるでしょう。

通信インフラを防犯対策に活かす!GIGAスクール構想のその先へ

子供たちが笑顔で学校に通う

GIGAスクール構想が実現すれば、多くのメリットがあります。児童・生徒のICTスキルが向上するのはもちろん、視覚・聴覚から情報が同時に得られるデジタル教材は授業の効果性を上げ、子どもたちの理解度をアップさせます。それぞれがオンラインに繋がった端末を活用すれば、自分の能力にあわせた学習も可能になるでしょう。

学級閉鎖や休校中、さらに何らかの事情で学校を休むことがあっても、学習用端末があればどこででも勉強を続けられます。また、学校DX化が進めば先生方の事務作業も楽になりますし、保護者とのコミュニケーションも取りやすくなります。
こうしたメリットを考えると、アフターGIGAでますます学校DXは推進され、オンライン学習はさらに普及すると考えられます。

更にGIGAスクール構想で整備された校内インフラは、子どもの安全を守るために活用することもできます。毎年、学校への不審者侵入等による悲しい事件を耳にしますが、アイホンのIPインターホンは広い敷地内でも子どもたちを見守ることができます。校内の非常連絡、校門の防犯強化や巡回中の警備員に呼び出しを転送するなど、多様な機能で防犯対策を強化できます。

詳しくは是非ともこちらの内容を合わせてご参照ください。

学校安全の推進に貢献!補助金を活用して導入

子どもたちの「生きる力」をはぐくみ、その未来を公平で格差のないものにするために整備改良された校内の通信インフラ。いま、さらに防犯対策にも役立とうとしています。テクノロジーの恩恵を最大限に活かし、アフターGIGAを実りのあるものに発展させていきましょう。

[参考]

文部科学省:

GIGAスクール構想について

GIGAスクール構想の実現パッケージ~令和時代のスタンダードな学校へ~

GIGAスクール構想の進捗について

ICT活用教育アドバイザー、GIGAスクールサポーター、ICT支援員の概要